シンタクラース 

 

オランダでは12月25日のクリスマスより12月5日のシタクラースのほうが大な行事です。このシンタクラースは11月中旬に、ピートと言う黒人の召使を連れて、スペインから船でやってきます。船で到着したシンタクラースは白い馬に乗ってオランダ中の子供たちの家を見て回り、悪い子は袋に詰めてスペインに連れ帰ってしまうというのですから、この時期子供達はとても良い子になるのです。子供達はシンタクラースへのプレゼントの絵を描いて馬のための人参と一緒に自分の靴の中にいれ、暖炉の前において寝ます。寝ている間に見回りに来たシンタクラースは子供たちのイニシャルの形のチョコレートを靴の中に配っていきます。
私達の住む人口8000人の小さな街にもシンタクラースはやってきます。『シンタクラースがやって来る』というお知らせが行進の道順と予定時間と共に、地元の小さな新聞に掲載されます。馬に乗った子供達やブラスバンドの演奏、きれいに飾られたトラックの荷台に乗ったシンタクラース、そのまわりを踊りながら歩くピート達の行列は村のあちこちでしばらく止まります。ピート達が見物の子供達に「ペパーノーテン」や「マシュマロ」などを配っている間に子供達は一人づつシンタクラースのところに行き今年のプレゼントのお願いをするのです。それはきちんと親に知らされる仕組みになっていて、次の日から親達はプレゼントを買いに走るのです。
さて、12月5日になると、レネカの家ではコテージを二棟借り、オランダ中に散らばっている親戚が一堂に集まります。子供達は学校を早退し、夜のパーティに間に合う様に出発します。前の年にくじで決めた相手に手作りのプレゼントを用意し、詩を書くのですがこれがまた難しいのです。その相手がこの1年の間に失敗した事などを元に韻を踏んで面白おかしく皆に披露しなければならないのですから。こうして一人一人をやり玉に挙げて盛りあがり、皆で歌を歌いながらシンタクラースがプレゼントを持って来てくれるのを待つのです。シンタクラースは子供達にシンタクラース用の包装紙を張った箱の中にプレゼントをぎっしり詰めこみます。メインのプレゼントのほかにこの時期子供達に買ってあげようと思っていた物すべてが詰めこまれています。Tシャツやソックス、小さなぬいぐるみやおもちゃ、隙間はお菓子で埋め尽くします。大人達もお互いにプレゼントを交換し楽しく夜はふけて行くのです。
こうしてシンタクラースが終わってようやく街はクリスマスが始まるのです。

*これは2000/12にhttp://www.lapocket.comに掲載されたものです

©2001 Miharu Shinohara