手芸屋さんレポート

いつも通っている手芸屋さんのおばちゃん、アンジェラはとっても親切でおしゃべりが大好きです。

最近は買いに行くと言うよりおしゃべりに行くと言うほうがあたっているくらい、本当によくいろいろな事を話します。今日はそのアンジェラにお店の中を撮らせてと頼んで見ました。

「きちんと整理していないから恥ずかしい」と言いながらもスミからスミまできちんと説明してくれました。

このお店、名前は「アトリエ キルトパズル」といいます。

実はここのメインはパッチワークキルトなのです。

商店街から外れた住宅地、その一軒を改造してお店にしています。

入り口を入るとまず目に付くのは刺繍糸、生地、キットなどが所狭しと並んでいます。もちろんキットはラナーテをはじめさまざまなキットがあるのですが最近のお薦めは「東洋」のものだそうです。

最近町を歩いていても、お店の中にも、漢字が書いてあるTシャツを着ている若者がいたり、ろうそくやお皿などに漢字が書かれているのを見かける事が良くあります。「字、そのものに意味がある」ということが彼らにはとてもエキゾチックに感じるのだそうです。

例えば「愛・・・love」というように漢字と英語を並べたり。

それが刺繍の世界にも出てきたのです。アメリカからの輸入物のそのキットは「仁」「泰」などと書いてあったり、着物のデザインだったりします。

もう一つ、アンジェラのお薦めは「マイバック」・・・オランダでは買い物をしても袋に入れてくれる事は余りありません。スーパーでは袋を持参するか、買うかどちらかですので、ほとんどの人が「マイバック」を持って行きます。

このバック、しっかりしたキャンバス地で縫製もしっかりしています。

これにハーダンガーを刺した布を後からミシンで縫いつけたのがこのバックです。もちろんクロスステッチでも良いし、アンジェラお得意の「シャドウペイント」でも良いのです。このシャドウペイントの説明を聞いているとどうもステンシルのようなのですが、ペイントが固形なので扱いがとても簡単なのだそうです。色を重ねる事も自由に出来るので影をつけることがとても上手に出来るそうです。

彼女は説明をし始めたらもう止まりません。

パッチワークのコーナーは生地ほとんどがアメリカからの輸入物です。アメリカのデザインや色などがとても人気があり、遠くから買いに来る人もいるそうです。日本のパッチワークの水準は高く、ここにも日本の本がたくさん並んでいます。

「字は読めなくてもパターンが書いてあるからわかるのよ」

私がハーダンガーの本を見るときと同じです。手芸の世界というのは言葉がわからなくても通じてしまう、糸と針が好きな人の匂いというのがあって、おたがいそれで感じてしまえるのでしょうね。こんなオランダの田舎で「野原チャック」さんや「松浦香苗」さんに出会えるなんて懐かしさと同時に、心が和みます。

遊びに行くたびに、奥から本を持ってきて刺繍の事、民族衣装の事、オランダの伝統行事のこと・・・本当にたくさんの事を教えてくれます。

そんなときにお客さんが来たらどうするかって?奥で仕事をしているご主人かお母さんが出てきてお客様のお相手です。

問屋さんが来た時は、さすがにおしまいになりましたけれど。

普段はお店の隅に座って刺繍をしている事が多いので、作品はどんどん増えていきます。そのほとんどがプレゼントとしてあげてしまうとの事、今作っているラナーテのキットの「アメリカンインディアン」は、出来上がったら義理の妹にあげるのだそうです。

ただ一つ困るのは、

「糸をオーダーできるかしら?」

「もちろん、できるわよ!ただね、いつ来るかわからないけれど。問屋さんにあれば1週間、なければ1ヵ月後かもしれないわ」

と言いながら、アンジェラは私が欲しがっている糸は必ず次に行くと買ってきてくれています。毎週月曜日は彼女が問屋さんに出向き、いろいろなものを眺め、探して買ってくるのです。

「欲しいものがあれば土曜日までに言えば、月曜日に探してくるからね。」

あるかどうかわからないものを、すぐにくるという返事をしないのはアンジェラの人の良さなのでしょう。

「手芸のお店を開く」事は、手芸好きなら誰でも夢見ること、私もこんなにたくさんの生地、糸、さまざまな手芸材料に囲まれて毎日を過ごしたいとしみじみ思うのです。

1/2/2002

©2002 Miharu Shinohara