刺繍の杜 オランダ生活記

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学校博物館

ロッテルダムの街の中心からすこし入ったところに、「学校博物館」があります。オランダの学校の移り変わりが展示されていて、小さな子供たちの遠足で賑わう以外は、いつもひっそりとしています。
一番初めの部屋は12世紀頃、ユトレヒトに出来たオランダで一番古い学校が再現されています。もちろんこの頃は裕福な家庭の男の子しか勉強することが出来なかったそうですし、学校で勉強するのは聖書、ラテン語だったそうです。
ケビン君という若いお兄さんが博物館を訪れる子供たちを引率して各部屋を回っています。
さて私たちも、今日3組の遠足の子達の見学を終わらせたケビン君に案内してもらいました。
木で作られたかばんは、鳥の羽で作られたペンや紙を入れて通学に使うだけでなく、机の代わりにも、椅子の代わりにもなる便利なものです。このかばんにヒンデローペンなどで、きれいな絵が描かれているのを、今でも見つけることも出来ます。
「Peckvogel」というのは「運の悪い人」という意味なのですが、昔学校で、いう事を聞かない子達をたたくための棒の名前なのだそうです。この棒でたたかれるのは運の悪い人ということなのでしょう。
1600年代、1800年代・・・とその移り変わりを楽しんで、最後の部屋の前でケビン君は立ち止まりました。
「いまから授業をします」
カランカランというベルを鳴らし、教室に入るとそこは1920年頃の教室が再現されていました。
「ハイ、みんな、おはよう」
「おはようございま~す」
「声が小さいからもういちど!」
なんてまさしく学校ごっこです。
教科書が配られ一人一人読まされます。
この時代「サル、くるみ、ミープ(猫の名)」と言うのが教科書の一番初めに出てくる言葉だそうです。何とかこれはクリア。
次に紙を渡され、ペンとインクを使って名前、年齢を書き黒板に書いてある簡単な問題を書き写し、答えあわせ。
「大変よく出来ました」の判を押してもらって、大喜び。
ここには昔の子供たちが勉強した資料などもあるのですが、それに加えて学校で必ず習ったという針仕事の展示もしてあります。
穴が開いてしまったり、かぎ裂きを作ってしまったときにきれいな縫いとりで補修する方法、もちろんクロスステッチなどなど。こういうものはいくら眺めても飽きることがないのです。
買い物途中にちょっと寄ることの出来る場所なので、またこの刺繍たちに会いにこようと思いました。

2003/4

2003@Miharu Shinohara