お針子日記

2003年8月27日
イサムノグチ展が開催されているのは知っていたのですが、なかなか行くことができずにいました。あと1週間ほどで終わってしまうので、今日になってあわてて行ってきました。和紙を通して感じる柔らかなやさしい灯がとてもすてきで、心が落ち着きます。
闇の中に浮かび上がった舞台装置や広い空間に置かれているさまざまな作品。どれも眺めているだけで心が落ち着きます。一度外に出て、コーヒーを飲んでからまたもう一度中に入り反対周りで眺めてきました。今日はほかの展示を見る気もなく、穏やかな気持ちで家に帰ってきて、今その余韻を楽しんでいます。

2003年8月20日

コーヒーを2パック買うとコーヒーの木を安く買うことができるのよ。
コーヒーの木を前に悩んでいる人がいたので、立ち止まって一緒に眺めていたらなんだか欲しくなってしまいました。
Douwe Egberts と言うコーヒーは1753年から、つまり今年は250年の記念の年なのだそうです。
室内の明るいところで、直射日光は避けて育てるとのこと、オランダのコーヒーはおいしいけれど、まさかここでコーヒー豆を育てることはできないでしょうね。

2003年8月10日
突然思い立って「ドイツ放浪の旅」へ行ってきました。
目的は「刺繍博物館」と「ドナウ川」。たくさんのサンプラーが展示してあるCelleの博物館や、Schwalmstadt の博物館。あまりにもたくさんの刺繍を前に、ただため息ばかりでした。
その後、マイン川をたどってドナウ川と一緒になっている地点も見つけました。こんな風に気ままに旅をすることができるのは本当に幸せなことだとおもいます。
毎日とても暑かったのですが、朝は涼しく、ベランダに出て刺繍をしていると寒いくらいでした。
ゼラニウムやペチュニアが窓いっぱいに咲き乱れ、どの街もとてもかわいらしく、親切な人たちに出会えてとても素敵な旅でした。

2003年7月26日
夏休みに入ったオランダは街中がすっかりお休み状態です。
売り切れになった糸や生地は全く入荷しませんし、注文しても
「いつ入るかわからない、だって夏休みだから」という返事。
そうだ、昔通った刺繍教室の先生なら大丈夫に違いない、前回注文した時に来週夏休みって言ってたもの。
ところが戻ってきたメールは彼女の息子ステインから。
「母はホリディ中です。来週の火曜日に戻ります」
そうだ、オランダ人は何度もホリディに行くんだってすっかり忘れてたのです。夏休みはいつも以上にのんびり待たなくちゃ。

2003年7月5日
私たちの村のはずれには、麦畑が黄金色に輝いています。
ライトゴールドのハーダンガーがあと少しという頃、少しずつ色づいた麦畑と重なって名前が決まりました。そうすると最後まで悩んでいたステッチもすんなり決まってしまいます。
こんな風に刺しているうちに何かと重なって、イメージが出来上がっていく時と、初めからこんな風に仕上げたいと思う時とあるのです。
どちらにしても、ほんの一瞬のひらめきの時が多いのですがそのほとんどがお気に入りになってしまうのですからふしぎです。
黄金色のセンターの上には、焼きたてのパンが似合うのかしら。

2003年6月21日
マリーケのおじいさんはフレックスを作っていたのだそうです。
そう、フレックスというのは麻の材料になる植物のことです。
「私が小さい頃は畑一面、フレックスだったのよ」
小さな青い花をつけるフレックスが咲いているところを見たいと思っていた私は思わずにっこり。
「ねえ、それってどこで見られるの?」
昔はオランダの南部、ベルギーに近いところにたくさんのフレックス畑があったのだそうですが、今はもうほとんどなくなってしまったのだそうです。
テキスタイル博物館で見た、麻の作り方のビデオの中の一面のフレックス畑を思い出し、ちょっとがっかりです。
「フランスに行ったら見られるわよ」
何とかフランス旅行を画策しなくちゃ・・・。

2003年6月8日

6月に入って暑い日が続いています。窓の下の水路ではボートやカヌーで漂っている人たちがいます。
家の周りはまだ工事中なので、この地域からほかにでていくことはできないので、ただ漂っているだけなのです。
太陽の光がとても貴重なので、日が照るとすぐに庭に出て日光浴をする人が多いのですが、ボートの上はさえぎるものもなく日光浴には最適なのでしょう。
そのボートやカヌーの間を白鳥や鴨の親子がゆっくりと泳いでいます。休日の多いこの時期、しかも昼の時間がどんどん長くなって一年分の日の光を浴びているに違いありません。
でもあまり日に当たっちゃいけないんじゃないかなぁ。

2003年5月21日
先週末からドイツへ買出しの旅に行ってきました。
最近心を奪われているフレメやドイツのクロスステッチ、シュヴァルム刺繍の本などなど。
リネンバンドや注文した生地も届き、この数日ちょっと興奮状態。
たくさんの生地や糸に囲まれ、さて何から手をつけてよいやら・・。
アリオサグリーンのドイリーや、リネンバンドの小さなベルプル。フレメも刺さなくちゃ、そうそうアジュール刺繍もブラックワークも。
たくさんの材料に囲まれにんまりしながら、どれから刺すか、まず順番を決めるのに一苦労です。

2003年5月15日
朝、7時前に白鳥の親子の一日が始まります。6羽の白鳥家族は水の上に滑り降り一日をどこかで過ごしてくるようです。
そうして夕方になるとまたもとの巣に戻ってくるのです。
「あれ!一羽足りない!!」
どこかで迷子になったのか、それとも何かに襲われたのかしら?
がっかりしながらパンをあげていたら・・・・
「おんぶしてる!!!」
お父さん(と勝手に決めているのだけれど)の羽の中からひょっこり頭が出てきました。
疲れて足が痛いよ〜とか、眠いよ〜とか、きっと駄々をこねてお父さんの背中に上ったに違いありません。
パンを見つけて、背中から滑り降りてきました。
毎日のお散歩の様子から、雛を大事に守っているのは知っていたのですが、背中に乗せているなんて想像もしませんでした。
またまた新しい発見にわくわくしています。

2003年5月9日

とうとう生まれました。もう一ヶ月以上も前から白鳥が卵をあたためているのが見えていたのですが、いつまでたっても生まれてこない雛たちが心配で、会う人ごとに
「白鳥ってどれくらい長いこと卵をあたためているものなの?」
って聞いていたのですが、もちろん誰も知りません。
一ヶ月が過ぎた頃からは、毎日の食事の話題が白鳥の雛のこと。我が家の食卓から白鳥が見えるのですから、私たちは孫を待つような気持ちになっていたのでした。
いつもは1人でどこかへ行ってしまう「お父さん白鳥」がなぜかジーッと「お母さん白鳥」に寄り添って離れないなと思っていたら小さなかわいい雛が4羽。
それ以来、白鳥の家族は6羽片時も離れません。小さな4羽の雛たちが大きくなるまでずーっと一緒なのでしょうか。

2003年5月4日

春は白アスパラの季節。この季節になるとせっせとゆでて毎日アスパラ三昧です。アスパラの季節だけ出てくるアスパラ専用なべ。
ちょうどアスパラの入る深さで、内側にかごがついています。
頭を上にしてかごに入れ、おなべでゆでるのですが、頭のところは柔らかくて、すぐに火が通ってしまうので、お湯からちょっぴりあたまをだしてふたをするので蒸気で柔らかくなるのだそうです。
このアスパラの季節だけはブラバントが懐かしいのです。
アスパラ農家の納屋のドアをたたいて取れたての白アスパラ、緑アスパラを買いに行くのです。
胡麻和え、わさび醤油、わさびマヨネーズ・・・もちろんアスパラスープやはたまたお味噌汁にも入れてしまうのですから、1キロのアスパラはすぐに消えてしまいます。
日本の筍や蕗もとても懐かしいのだけれど、その代わりのアスパラ三昧の毎日もとっても幸せです。

©2003 Miharu Shinohara

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