お針子日記

2002年12月31日

とうとう2002年も今日でおしまいです。
オランダでの年越しも今回で4度目になってしまいました。
今年は、幸運にも餅つき機を持っている方から声がかかり、30日にはお餅つきをすることができ、お正月のお餅も手に入れることができました。ほんの少し、形ばかりのお節を作り、あとは新年を待つばかりとなりました。
大晦日恒例の「オリボーレン」は買ってきましたが、今年は花火を買いそびれ、花火をあげることはできません。
ご近所があげる花火を眺めながらスパークリングワインを飲んで新年の乾杯をすることになるでしょう。
CNNの世界の新年で、日本の除夜の鐘を見るのが楽しみです。

今年もまた刺しかけの物がたくさん残ってしまいましたが、一番の心残りはワインカラーの小さなドイリーです。
ワインの旅に出かけて以来、ずーっと近くにおいていたのですがなかなか刺し始めることができす、ほんの少し前に輪郭だけが出来上がりました。相変わらず刺したりほどいたり、世界の年越しの様子を眺めながら足掛け2年のドイリーになりそうです。

2002年12月27日
 
楽しみにしていたクリスマスも終わってしまいました。
毎年思うのですが、いろいろなクリスマス飾りを眺めながら
「来年はあんなふうにしよう」 「こんな飾り方もあるのねぇ・・・」と
今年もやっぱり同じ様に思ってしまいました。
玄関のリースは、一箇所に飾りをまとめて飾ったものですが、ご近所のリースを見るとそのほとんどが、全体に飾りをちりばめてあって、それもまた素敵に思えてしまいます。
この時期ガーデンセンターにはもみの木の葉っぱ、常緑樹の葉っぱが束になって売られていて、その中に何種類かセットになっているものもあり自分で作ってみたい人には楽しいところです。拾ったまつぼっくりや家にあった観葉植物の葉、リボンを組み合わせて楽しみました。

このクリスマス休暇の間に、お針子日記に少し手を入れ見ようかしらと思い立ちました。
Atelier Lente も一緒にして、お針のことだけでない「お針子日記」にしようと・・・と言ってもきっとお針中心になってしまうに違いないのですが・・・思ったのです。

21/12/2002
半分あきらめていたアムステルブルーがとうとうやってきました。
「今度は絶対大丈夫だと思うわ」
マリーケからの電話に、飛んでいきました。
今回は本当にアムステルダムブルーです。
今まで買っていたアメリカのお店と、Zweigartのベネルクスのセンターと番号が違っているのです。
「どちらが間違えてるかはわからないけれど今度注文するときは、ベネルクスの方の番号を言ってね。」
ほんの数メートルのために、あちこちに電話をかけてくれ返品もいやな顔をせずに受けてくれました。
「私は手芸屋だから、これが仕事なの」
12番の糸も一緒に買っておいてくれました。
久しぶりに手にしたアムステルダムブルーはやっぱり
私の大好きなブルーでした。

11/12/2002
最高気温がマイナスと言う今日朝起きたら停電になっていました。
電気もつかないし、暖房も消えています。
ろうそくに火を灯し、ゆっくりと明けてゆく東の空を眺めながら朝のひと時を過ごしました。
淡いブルーグレイの空とピンクがかったオレンジ色の日の光が混ざり合ってなんともいえないすばらしい朝の空でした。
思わず取り出したブルーグレイの麻布、
これにあの糸があれば・・またまた心は動きます。
停電のせいにしながら明日は手芸やさんに行ってみようと、
またひとつ楽しみが出来ました。
こうしていろいろな口実を作っては手芸やさん通いがとまりません。

8/12/2002
人との出会いってとても素敵なことだと思います。
ふっとしたきっかけで知り合っただけなのに、ほんの少し話をしただけなのに、思い出すだけで心が温かくなる人がいます。
9月の京都でふと見かけたポスターにつられて「古代染色二千年の再現」という草木染の山崎青樹さんの展示会に立ち寄りました。
そこで知り合った京都の小さな呉服屋さんを訪ねてうかがったお話の楽しかったこと。
後になって思い出しても心が優しく、暖かくなる様な気がします。
後から届けていただいた小さな染の布・・・。
和紙に草木染めの布が張ってあり、毛筆で名前が記してあります。今その布を前に、京都でのひと時を懐かしく思い出し
またお会いできる日が楽しみになります。

29/11/2002
幻の生地になりそうな・・・そんな予感のAmsterdam Blue ですが
今度は問屋さんが探してくれました。
ベルギーからやってくるので2〜3週間かかるとのこと。
「ない」といってしまえば簡単なのに今までのオランダのイメージはそうだったのにこんなに一生懸命になって探してくれるなんて、
とても感激です。
言葉は通じなくても手仕事好きの思いはやっぱり万国共通なのでしょう。Caronの糸か、生地かどちらかでも入荷したらすぐ電話をしてくれることになっているのですが時間を見つけてはお店を覗いてしまいます。
クリスマス前のこの時期お店はいつもたくさんの人であふれています。暗く、寒くなると手仕事をしたくなるというのも万国共通なのでしょうね。
それにしてもすぐそこにある国境を越えればベルギーなのに。

26/11/2002
ナニ・レイの本棚は宝の山です。
世界中の刺繍の本、サンプラーの本、刺繍の辞書・・
たくさんの日本の本もあふれています。
とても古いものも多く、どれも貴重なものです。
その中に30年近く前のこぎん刺繍の本を見つけ貸してもらう本の中に入れました。
以前、こぎん刺繍に凝ったことがあります。
コースターや、ランチョン、バッグなどなどいろいろ作ったものは、
もう手元にありません。
でもひとつだけ、刺しかけのものがあるのがいつも気にかかっていました。こぎん刺繍のサンプラーです。
この古い本から、パターンを写して仕上げてしまいなさい、という声が聞こえます。しばらくはこぎん刺繍に熱中します。

21/11/2002
Pearl Doily を気に入ってくださる方がたくさんいらっしゃるのは知っていたのですが、こんなに早くなくなってしまうなんて
予想できませんでした。
アムステルダムブルーに引き続き本当にごめんなさい。
糸の注文はもうしてあるのですが、ここはオランダ、少しお時間がかかるかもしれません。
ものを待つ時間て、ちょっとどきどきして毎日ポストを覗いたり、電話を待ったりそんな時間も楽しくて仕方がないのですが、待っていてくださる方がいると思うと申し訳なくて、心が痛みます。
でも、もしかしたら、私と同じ様にものを待つのが、わくわくして大好き!って思っているに違いないって想像しています。
だって同じものを好きだと思ってくださるのですから。

20/11/2002
アムステルダムブルーが見つかった!
そう連絡をもらって、大喜びで取りに行きました。
ところが見た瞬間・・・違う・・・がっかりです。
マリーケもがっかりしてしまって、「もう一度電話をしてみるわね」といってくれました。
手書きで書いてある番号は確かにアムステルダムブルーの番号です。少し緑がかった「Blue spruce」という色です。
もちろんこの色も大好きなのですが、今はとにかくアムステルダムブルー、なのです。たくさんの人が待っていてくれるのですから。
いろいろなサイトを探して、置いているお店を見つけてくださった方たちには本当に申し訳ないのですが、マリーケがこんなに一生懸命に
探してくれているので、もう少し待とうと思うのです。
オランダのお店は仕方ないなあと気長に待っていてくださいね。

17/11/2002
ものには「ころあい」というものがあります。
この「ころあい」という言葉が気に入っています。
刺繍をする時もこの「ころあい」が大事なのではないかしらと
最近思う事が良くあります。
例えば糸の引き加減、引っ張りすぎてもゆるすぎても
あまり美しくできません。
刺し間違えてしまった時もほんの少しなら気にならないかもしれませんが、それならどの程度なら気になるのかしら。
昔は、ほんの小さな事も気になってほどいてやり直していたけれど
数を重ねるうちに、この程度なら・・と思う事も。
でもこの「ころあい」のものさしは人によって違うのでやっぱり私流ということになるのでしょう。

6/11/2002
金糸の絡んだ絹糸を使って
ハーダンガーのオーナメントが出来上がりました。
よりが甘くて少し刺しにくかったけれど
思ったとおりに柔らかい、やさしい出来上がりです。
絹糸を使うときは手が荒れていては引っかかってとても刺しにくいのでそれも注意しなければ・・。
洗い物は極力避けなければいけないと思って宣言したら
ラベンダーの香りのハンドクリームをプレゼントされました。
これってやっぱり洗い物は私の係りってことかしら。

2/11/2002
アムステルダムブルーの生地が廃番になったとの声が聞こえてきました。いくら探しても、どこに問い合わせても見つからないのです。
以前ふらりと入ったお店のオーナーはハーダンガーはビスコースと綿の混紡が使われることが多くなってきて、そちらのほうの色が増えてきていると言っていたっけ。
確かに糸の太さも揃っていて、刺しやすいのですが、糸の太さが不ぞろいでも私はやっぱり麻のほうが好き。
どんどん種類が少なくなっていくなんて事にならないことを
祈っています。

26/10/2002
日本での収穫は?
友達の孝子さんに頂いた手染めの麻糸。
「こんな短い端糸で良いの?」
金糸を織り込んだこげ茶のストールの
残りの糸なのでとても短いものばかりです。
もちろんそのストールにも一目ぼれです。
織物と違って刺繍にはどんなに短くても使えるのです。
こうしてやってきた糸たちを前にただただにんまり・・・。
母が用意してくれたさまざまな日本食より
糸を優先してスーツケースに詰め込みました。
お留守番の息子には内緒です。

25/10/2002
日本に出発の数日前ふらっと入った手芸やさんで」Caron の段染め糸を見つけました。
真珠という名前でピンク、黄色、ブルーそれに薄いグリーンも入っていて一目で気に入ってしまいました。
この糸だけで刺したらどうかしら?
8番の代わりに使う Wildflowers はピンクが少なくて
さわやかな雰囲気です。
とりあえず布をジョキジョキ切ってバッグに忍ばせました。
空港での待ち時間、飛行機の中一針も進みません。
こんな風に・・・と思い立った時は成田到着の少し前。
もう少し遠かったら良いのに・・・。
最後の仕上げはオランダで
真珠の国の余韻に浸りながら完成しました。

15/10/2002
過ぎてしまえばあっという間の3週間でした。
手芸やさんを覗いたり、本屋さんに入り浸ったり
とても楽しい3週間でした。
日本に帰っていつも思うのはとにかく物があふれているという事。
種類が豊富で選ぶのに苦労してしまうほどいろいろな種類のものが取り揃えられています。
DMCの糸が全色そろっていることや在庫がいつもあるなんてことは
日本では当然のことなのでしょうか。
写真がきれいに現像してもらえることカラーコピーがとってもきれいにできること数え上げたらきりがありません。
久しぶりの日本はやっぱり素敵な日本でした。

18/9/2002
オランダの刺繍、ドロンワークを教えてもらいました。
イギリスのドロンワークにそっくりなのですが「刺す順番が違うの」だそうです。
区限刺繍と違って目を拾っていくのではないのでなかなかステッチが揃いません。初めての小さなドイリーは何度もほどいては刺しなおし少しずつ形が見えてきました。
一時帰国の前に仕上げる予定だったのにこのまましばらくお休みになりそうです。
手荷物にしのばせるお針仕事は刺しなれたものが一番ですから。

14/9/2002
Hardanger Fabric を買い足そうと思ったら、Zweigrt のOslo がなくってPermin の生地にしてみました。
Oslo は光沢があって柔らかかったのですが、Permin の生地は張りがあって光沢もあまりありません。
Oslo を絹の様と、たとえるのならPermin は麻のよう・・・
と言う感じかしら。
麻の持つ少しザラッとした感触とパリっとした雰囲気が大好きな私はすっかりお気に入りになってしまいました。
同じHardanger Fabric でもメーカーによってこんなにも違うものかと
驚きつつも、その違いがまた楽しいのです。

10/9/2002
アリオサのブルーの生地がなくなりました。
いつお店に入ってくるか、それもわからないのだそうです。
淡いブルーはとてもさわやかで、涼しげで、大好きな色だったので少し残念です。でも、その代わりにかわいい黄色を見つけました。
少し卵の黄身の色がかった黄色です。
少し濃い目かしらと思ったのですが定番の白糸でコースターを作ってみたら白に隠れて少しだけ見える黄色は淡い、優しげな黄色に
変化しました。
少し温かみのある秋のイメージのコースターです。

5/9/2002
コースターキット001のオンライン講座を作ってみました。
ハーダンガーをはじめて刺す方がこれを見ながら作ってくださったのですがとってもきれいに仕上げてくださって感激です。
まだまだ改善しなくてはいけないところがたくさんあるのと
おもうのですが。
001を刺して見たい方はぜひご利用くださいね。
もっともっとたくさんの方にハーダンガーの楽しさを
知って欲しいと思います。

2/9/2002
夏の間に遊びすぎてしまってあまり針を持つことなく夏が過ぎてしまいました。
なぜか夏になると「夏休み」だと思ってしまうのです。
大人になってから、夏休みなんてないはずなのに。
でもこの夏はベルギーのブルージュの手芸屋さん、フランスのディジョンの手芸屋さんと旅先で手芸屋さんを見つける事が出来て
とてもすてきな夏休みでした。
どこへ行っても、たとえ近くの町でも手芸屋さんを探して入ってしまうのはどうしても止められません。
ディジョンの手芸やさんはやっぱりフランスの香りがしてデザインも洗練されているような気がします。
気のせいなのでしょうか。
そうしたらオランダはオランダの香り・・・?
日本の手芸屋さんてどんなだったかなあ。

©2002 Miharu Shinohara

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